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医師とは・・・・

私の医者人生観、座右の銘です。
H.23年9月 改訂

医師とは・・・

開業当初の写真・・・若いな〜

  今年(H23年現在)で医師になって15年目になりましたが、開業してからもう8年目です。まだまだ経験としては少なく、医師について語るなどおこがましいとは思いますが、今までの経験から医師について考えていることを勝手に書きたいと思います。


 
1.「医療はサービス業である」
 
 当たり前のことだと思います。結局医業というのは患者さんがいないと成り立たないんですよ。昭和の頃は「お医者様」のように非常に偉そうなイメージがありましたが、実際は決して偉いものでもありません。「自分は人の命を救った」なんて幻想であり、実際は治し方を教えたり、薬や処置によってその人の自然治癒力が高めてあげただけなんですよ。一番頑張っているのは患者さん自身であり、私達はそれをサポートしているだけなんです。基本的にはサービス業ですので、自分の力で、この人の命を救ったなどと、決しておごり高ぶってはいけないと思いますし、命を救うことだけが医療でもありません。
 

2.「医師は患者さんに救われている」
 
 よく研修医時代に思ったことです。研修医というのは皆さんもご存知のように非常に過酷です。(今は法律でかなり楽になりましたが)まずは眠れないのが辛いんですが、体力的にも精神的にも非常に辛く、休日など自分のプライベートな時間というのがほとんどないんですよね。そのような生活を続けていくとおかしくなったり、落ち込んだり、嫌になることもあるんです。さらに患者さんの死に直面したりすると、非常に大きな精神的ダメージを受けるんです。 でも、そんな時に患者さんの笑顔を見たり、お礼を言われたりすると本当に救われます。「この人のためだけでも頑張らないと」という気になるんですよね。いつも患者さんに言っている「大丈夫ですか?」は半分自分にも言い聞かせているのだと思います。


 
3.「医学とは患者さんが教えてくれるもの」
 
 これは内科研修医時代の恩師の言葉です。私達は医学生の頃に全ての科を病棟実習し、大体の病気については知っているつもりですが、実際は教科書上で勉強しただけの病気がほとんどなんですよ。初めてその病気の患者を見て「これが教科書に書いてある病気や症状なんだ」と感動することも多いです。教科書とは違い患者さんを実際に見て覚えた知識は一生忘れませんし、一度見ておけば今度同じ患者さんが来た時には非常に役に立つんですよ。

 また、複数の病気を抱えている方はそれぞれの病気に対する悪影響や薬の相互作用なども考えなくてはいけないので非常に難しいんですよ。それを全部文献上で覚えるのはまず不可能ですので、そこで経験が生かされるんですね。

 今まで非常に沢山の患者さんに出会え、勉強させていただいたことは非常に感謝しておりますし、これからも勉強させていただきたいと思います。


 
4.「病気を診るのでなく患者さんを診ること」
  
 これは昔勤めていた病院の看護師さんに言われた言葉です。他の項でも書きましたが、患者さんの身体所見や検査データばかり見ていても決して良くなりませんし、仮に良くなってもまた繰り返すと思います。検査をして薬を出すだけだあれば検査技師さんと薬剤師さんで十分です。

 医師の役割で一番大事なのは病気やデータと共に、患者さん自身としっかり向き合い、
どうしたら症状が良くなり、繰り返さなくなるのか考えることだと思います。医学的な知識はもちろんですが、その人の人生や日常生活も一緒に考えてあげることが大事なんですよね。特に精神疾患の場合は患者さんのバックグランドは必ず知っておかねばなりません。その人の人生が、かかってますから絶対にいい加減には出来ないんです


「患者さんだけでなく、家族のことも考えること」

 
特にメンタルの患者さんはアルコール依存症や薬物依存症、何度も自殺未遂を繰り返したりと家族に見放されている患者さんも多いです。全ての事象に原因があるように、そうなった患者さんの背景にはそうなった理由があるんです。そして常に患者さんを診ているのはその家族なんです。「全ては患者が悪いのではなく、病気が悪い」このことを家族にも納得してもらい治療に協力してもらうことも大事なんです。

 
6.「医師が患者を選ぶのではなく、
   患者が医師を選ぶ。」
  「どんな患者さんでも、
   出会ってしまったらそれが運命!」


 
これは私が尊敬している眼科医、服部匡先生の言葉です。医師が患者を選ぶのではなく、患者さんが医師を選ぶんです。どんなに面倒な患者さんでも「出入り禁止」とか「もう来るな」なんて患者さんには口が裂けても言えないんです。色々な病院を盥回しされている患者さんでも自分が最後の砦!もしくは、きちんと診てくれる医者に紹介する覚悟が必要だと思います。

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7.
「時間がかかっても、きちんとした診断をつけること」

 これも昔の上司の口癖でした。診断がつかなければ、きちんとした治療も予後も解らない。そして、例え良くなったとしても、原因が解らなければ、必ずまた繰り返すことになる。病気の症状だけ良くしても何にもならないんです。この上司は循環器科の医師だったのですが、私個人としては医業全般に言えることだと思います。



8.「自分のミスを認めること」
 
 医師というのは医学に関してはプロフェッショナルでなければなりません。しかし医師も人間ですから間違える事は必ずあるんですね。誤診や見落としなど、研修医の頃は致命的なミスの場合もあるでしょう。全くミスをしたことがない医師というのは、まずいないと思いますし、そう思っている医師は恐らく自分のミスに気がついていないのだと思います。

 ここで大事なのは自分でミスに気がつき、それを認めるということです。そうすれば今度同じケースの患者さんが来た時には間違える事はないんです。また、
間違えた時は隠さず素直に患者さんに謝ることも大事なのです。


 
9.「解らない時は解る医師に紹介すること」
 
 「良い医師とは優れた知識と技術を持った者、もしくはそれを持った医師に紹介出来る者のことを言う」、昔の人の言葉です。医師には皆、得意な分野と不得意な分野があるのが普通です。目の前の患者さんが自分の持っている知識や技術では対応できないと思ったら素直にその専門家へ紹介状を書くことは当然なことです。解らないのに患者さんを長期に抱え適当に治療し、患者さんの方から紹介状を希望されるまで書かないというのは医師として恥ずかしいことだと思います。

 実際、開業医や大学病院ですと、経済的なことや病院のプライドなどで他に紹介しない医師が多い印象がありますし、患者さんの方も長く診てもらっているからとか、大学病院の先生だからと中々紹介状を言い出せない方も多いですね。先にも書きましたが、医療とはサービス業なのですから患者さんに医師や病院を選ぶ権利があるのです。


 
 
10.「究極の医療はeducation(教育)である」

 
これも昔の上司の言葉です。今は良い薬も多いし、医療技術も進んでおりますので、助からない患者さんも少なくなっておりますが、一番大事なのは患者さんを病気にさせないことです。そう考えると病気になるということは、その後、健康というものにも注意を払うこと、病気にならないように気を付けるきっかけを作ることでもあるんです。特に高齢者に大事なんですが、日常生活の中での食事や運動、ストレスを溜めない、物忘れが進まない指導や、定期的な健康診断を勧めたり、風邪を引かせない、転ばせないなど、重症な病気にさせない指導こそが究極の医療行為なんです。
 


 まあ、偉そうなことを書いてしまいましたが、この考え方が、10年後や20年後も続いていくことが出来ればいいなと思っています。これから先もこの「医師とは?」という問題は考えていくつもりです。何か他に、こうした方がいいのではと思う方がいればメールなどで是非教えてください。参考にしたいと思います。



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