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患者さんからの?

僕の所にも断酒目的で外来に来ている方がいますが、
飲んでいないと本当に陽気で楽しい人が多いですね。
毎回診察の時に断酒記録を更新するのかが非常に楽しみです。
たまに更新ならず・・ですが・・(笑)

ここでは、日常の診療でよく患者さんに聞かれることを
簡単に説明したいと思います。
 

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13  アル中の家族に困っています。
 皆さんはアルコール依存症、いわゆるアル中の人にはどんなイメージを持っていますか?

 アル中というと昔は中年男性の肉体労働者というイメージが固着しておりましたが、その後一流企業のサラリーマンや、主婦、OL(いわゆるキッチンドランカーですね)90年代以降は中高生の青少年にも広がり、近年になっても、患者は増え続けております。今や違法の薬物中毒と共に社会問題にもなってますよね。
 
 依存しているとは、その対象が手に入らないと心身に何らかの支障をきたすということで、アルコールを例に取れば、お酒が切れると禁断症状が出る言うことです。

 「依存症」という言葉を、もう少し詳しく言うと、精神的依存と身体的依存の2種類に分けられます。
 
 精神的依存はその薬物を求めて探し回る探索行動や病的な使用の痕跡を示唆しており、ほとんどすべての依存物質に認める症状です。不眠や不安などの症状が無くても、睡眠薬や安定剤を日常的に飲めば安心するというのも、これに含まれます。
 
 身体的依存はその薬物に対しての連続摂取による耐性の獲得(徐々に慣れて効かなくなる)と離脱症状の存在(薬が切れると出てくる身体症状です)を示唆している症状です。入らないと身体に何らかの異常をきたし、時に致命的な状態になるんですね。身体的依存が強い薬物としてはモルヒネと、このアルコールが上げられます。
 
 アルコール依存症の場合、連日の飲酒で徐々に飲酒量が増大(耐性形成)していきます。その後、飲んでいない時に不眠や手の振え、冷汗などを自覚するようになり(これを離脱症状と言います)、それらの症状は飲酒すると消失するので、本人的にはお酒を飲まないと体調が悪くなるんです。
 
 そのうちに常時お酒を飲むようになり、「複雑酩酊」と呼ばれる、気が大きくなって暴力的になったり、犯罪を犯したり、中には「病的酩酊」と呼ばれる幻覚や妄想、異常行動、自殺未遂などを認める人もいます。

 これらはいわゆる酒癖といういうものと同じであり、その人の体質である程度決まってくるんです。酩酊状態はアルコール依存症ではありませんが、何度飲んでも同じようになりますので禁酒が必要です。
 
 アルコール依存症になるとお酒が切れた時に離脱症状というさらに厄介な問題発生します。

 お酒が切れて24時間後〜48時間で、大量の発汗と脱水、けいれん発作や、せん妄状態(震戦せん妄)(幻覚や妄想など活発な精神運動興奮を伴う、本人は覚えていません)を認めることもあり、時に致命的な状態となるんですね。(私の経験でアルコール離脱せん妄で横紋筋融解症を併発し、透析まで行った患者さんもおりました。)




 そんな状態を繰り返していると、
最後には家族や仕事を無くし、致命的な身体の病気と借金だけが残り社会的にも致命的になるのと、身体的にも、肝臓や膵臓を壊したり、栄養失調になったり、痴呆になったりと重篤な身体疾患に発展して命を落とします。
 
 患者さんの対応として大事なのは、患者さんは、アルコールが自分の体を悪くしているのをしっかりと自覚していることです。自覚しているにもかかわらず、飲まないといられないんですね。

 当然説得や叱咤しても治るものではありませんし、それで止められたら病気にはなりません。でも治療としては断酒(酒を全く飲まない)しかないんですよ。量を減らすだけではすぐに大量飲酒につながり意味がありませ
ん。
 
 もし、本人に「お酒を止めなければ」という気持ちが、少しでもあるのならば治療の対象になります。(逆に言うと本人に止める気が全くなければ治療対象にはなりません)

 まずは自分がアルコール依存症だという病気にかかっていると自覚させることが非常に重要です。(否認の打破)それがクリアーできたら、本人を厳しく叱咤するのではなく、まずは少しづつ断酒期間を延長することと環境調整が大事です。


 アルコール依存症になり易い性格傾向として有名なのが、「自己愛性人格障害」と「アダルトチルドレン」です。基本的には気が小さく、根本的に自分に自信が無い人、現実と向き合おうとしない人が多いので、性格的なカウンセリングも必要となります。

 中々治りにくいのが、性格ベースに「知的障害」と「発達障害」を持っている方で、その場合は教育とカウンセリングよりもライフスタイルそのものを変えていかないと難しいです。
 
 また、アルコール依存症の患者さんの背景には患者さんを悪くしている家族がいる事が多いです。仕事もせずに飲んで暴れていても、それを止めなかったり、うるさいからとお酒を買ってきてしまったりするんですね。

 何もしなくてもお酒が飲めて日常生活できる環境を作ってしまうと、中々本人は「お酒を止めなければ」という気持ちにはなりません。そういう意味でも家族の指導は大事なんです。
 
 実際お酒をすんなり止められる方は、まず居ないので励ましながら、気長に付き合っていくことですね。先にも言いましたが、お酒が楽しみな人に、ただ、ただ酒を止めろと言うのも酷ですので、お酒を止めた後のその人の生きがいや楽しみを考えてあげるのも必要です。

 それでも断酒が出来ないのであれば、断酒会などの自助グループへの参加や、アルコール専門病院の受診や入院を勧めます。
 
 アルコール依存症と言うのは、本人を苦しめるだけでなく、家庭崩壊や子供に対しての影響(アダルトチルドレン、アルコール性胎児症候群)、飲酒運転や傷害事件と社会的にも非常に重大な問題を起します。

 入院治療をしてもすぐに良くなる方は2割くらいで、決して予後は良くありません。でも立派な病気ですので、ただ本人を恨んだり、家族だけで解決しようとするのではなく、病院や福祉関係に一度相談することをお勧めします。
 

よそ見してる


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ここでの文章での文責は 竹川 敦です。
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