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   患者さんからの?

「真昼の月」というドラマで有名になった言葉です。
ちなみにあのドラマの医事監修は僕の元上司でした。
残念ながら亡くなりましたが・・・

今でもその先生の授業は覚えております。

ここでは、日常の診療でよく患者さんに聞かれることを
簡単に説明したいと思います。
 

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12  PTSDって・・・(外傷性精神障害)
 一時期メディアやドラマで有名になった言葉ですね。正式名称はposttraumatic stress disorderの略であり日本語で外傷後ストレス障害といいます。症状の基本は外傷の再体験と反応性の麻痺、過覚醒です。

 簡単に言うと外傷を受けた時のことが、毎晩夢に出てきたりフラッシュバックといって起きている時にも目の前に浮かんだりします。

 そして、その外傷を思い出させるようなことを持続的に回避し、危険な状態にいつも対応できるように身構え、過度の緊張や不安で不眠や動悸、冷汗なども認めます。
 
 心的外傷を受けてから4週以内に症状が出るものをASD(acute stress disorder)急性ストレス障害といい、4週以上たってから起こるものをPTSDといいます。中には1年以上経過してから症状が出る人もいるんですよ。
 
 昔は第二次世界大戦の退役軍人やナチス収容所の生存者、原爆の被害者などが類似の症状をきたすことから、戦争神経症や戦闘消耗などと呼ばれていました。

 その他、外傷の原因として多いのは、自然災害や殺人現場を目撃したり、強姦、交通事故やビル火災などがあげられ、命を無くす危険がある状況、誰にとっても外傷となりうる感情的なストレス体験によって起こるのが通常です。最近では東日本大震災を経験した子供たちに多く認められていましたよね。
 
 しかしながら、外傷を受けたすべての人がなる訳でもなく、元々人格障害の傾向や児童期の外傷体験、ストレスの多い生活環境、精神障害の遺伝的要因などがある方がなりやすいと言われており、その場合その人の主観で日常の些細なことでも起こすことがあります。(例えば失恋のショックや、会社での失敗、上司の叱咤など)

 しかしながらその場合は「適応障害」の形を取ることが多く、過覚醒やフラッシュバックを起こすことは珍しいです。(逆に物凄いストレスを受けても全く起こさない方もいるんです)
 
 治療は未だ確立されていないのが現状ですが、症状が落ち着いていない時期(ASDの時期)には支持的精神療法や催眠療法、リラクゼーションなどが主体であり、最初からストレスに暴露させるのではなく、支持と安心感を提供することが大事です。

 また少量の抗不安薬や最近ではSSRIという抗うつ剤が効果あるといわれておりますが、過度に薬で落ち着かせてしまうと次のステップ(感情を吐き出させる作業)に進みにくくなりますので逆効果です。。
 
 症状が落ち着いてから(PTSDになってから)は、ストレスを再体験させ慣れさせる脱感作という作業と、感情を吐き出させるという作業が必要になります。

 同じような作業をしているのが、「フラッシュバック」という症状でストレスに対する防衛機制、心の自己修復能力で起こると言われておりますので、どんどん「フラッシュバック」は起こさせた方が良いんです

 しかしながら元々のストレスに弱い性格傾向、子供や、境界型人格障害、アダルトチルドレン、発達障害、知的障害などを合併しているは、ストレスを中々受け入れることが出来ず、大きな声を上げたり、意識消失などの解離症状をきたし、中々向き合うことが出来ず、治療は難航することが多いです。

 特に発達障害の場合は嫌な記憶を消せないという症状がありますので、脱感作で、負の感情を強化してしまうこともあります

 治療中にストレスの度合いによって、災害を経験した場所で過ごしてみるとか、事故現場、犯罪現場に行かせる、加害者に会わせるというのも必要になることがあります。

 東日本大震災の時には子供達にわざと震災の時の状況の話し合いをさせたり、災害時の状況を絵に描かせたりしておりましたが非常に有効だと思います。

 きちんとストレスに向き合い、その時の恐怖心や不安な感情を吐き出させていくうちに、通常は3か月以内くらいで症状は自然に治まっていきますが、忙しすぎてやることが多すぎたり、わざと気丈に振る舞ったり、近くに相談できる人が居ないと自暴自棄になったり、感情が落ち着かない、体に不調が出るなどで、中々良くならないことがありますので注意が必要です。


 
心的外傷による精神障害(外傷性精神障害といいます)というのは「ASD」「PTSD」以外にも、癌被告知後の「悲嘆反応」、身内を亡くした後の「死別反応」、小児期の虐待などが原因の「アダルトチルドレン」などと色々とありますが、治療法は根本的に一緒です。(思い出し、落ち込み、涙を流す、感情を出すというのが大事なんです)

 心的外傷に向き合うというのは非常に辛いことであり、内容によってはとても一人で抱え込んで自己消化できるものでもありません。

 しかし、ゆっくり段階を追って、時間をかければ、十分に治せるものですので、思い当たる症状があれば、専門の医療機関を受診するか、カウンセリングを受けることをお勧めします。

もの悲しい感じ?


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ここでの文章での文責は 竹川 敦です。
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