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患者さんからの?



日本では某製薬会社のプロモーションで
何とか知名度が上がってきております。
治療がうまくいくと本当に別人のように変わりますよ。

ここでは、日常の診療でよく患者さんに聞かれることを
簡単に説明したいと思います。
 

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11  人前に出ると緊張して、しゃべれなくなるんです。
 そんなことは誰にでもあるのでは、と思う方も多いと思います。でも、それが理由で会議で発言出来ない、プレゼンが出来ない、父兄会に参加出来ない、電話に出られない、などなど社会生活では致命的な障害となることもあるんです。

 そのような方を、昔は対人恐怖症や赤面症などと言われておりましたが、現在では「社会不安障害」や「特定の恐怖症」というように、DSM−Wの診断基準(世界的に有名な精神疾患のカテゴリーです)に分類されている立派な病気なんです。
 
 アメリカでは外来患者さんの中で一番多い精神疾患といわれており、有病率は実に人口の25%に及ぶと言われているんです。日本でこの疾患は、まだまだ認識されておらず、病院受診する人も少ないですが、実際は相当数の患者さんがいると思われます。
 
 社会恐怖症の症状としては、よく知らない人の前で自分が注目を浴びるかもしれない状況で、恥をかくのではと思い、不安反応が誘発され、一時的に動悸、発汗、呼吸困難などの身体症状をきたします。(パニック発作の形をとることもあります)

 その後、同じような状況がまた起こるのではと予期不安を生じ、そのことが不合理だと認識しつつ、恐怖した状況や似た状況を回避するんですよね。(いわゆる強迫観念ですね)
 
 ちなみに「特定の恐怖症」というのは、単一恐怖とも言われており、ある特定の対象に対して起こります。例えば動物や雷、血液、注射、高所、閉所などで、高所恐怖症や閉所恐怖症などはよく耳にする言葉なので、理解しやすいと思います。症状としては社会恐怖と同じように、ある状況になると不安反応を起し、その対象を避けるようになるんです。
 
 以前まで「社会不安障害」も「特定の恐怖症」も、危機的状況を一度経験した後に、似たような状況の刺激を与えることで、不安反応が反射的に繰り返され、発現するものだと考えられていました。

 しかし「社会不安障害」の方は、環境因が無くても発症することがあり、昔は全く問題なかったのに突然人前で緊張するようになるんです。

 元々の遺伝的体質的素因を持っている方が、環境因と相互作用を起こし発症すると言われており、誰にでも起こる病気ではないんですね。実際は脳内のノルエピネフリンやエピネフリンなど交感神経を興奮させる神経伝達物質が過剰分泌されて起こるのではと考えられておりますが、今のところ詳しい原因は解っておりません。
 
 以上のような症状が原因で社会的に著しい障害を受けている場合、治療の対象になります。

 特に営業のサラリーマン、接客業、教師などの方はそれだけで死活問題になるんです。可能であれば、転職や配置転換などの環境調整が出来ると良いんですが、なかなかそれが出来る方は少ないですね。そうなると薬物療法を使用しつつの精神療法が治療の主体になります。
 
 薬物治療としては対症的に薬剤を使用する場合と根本的にホルモンのバランスを治す薬剤と、大きく分けて2種類あります。後者はパニック障害や強迫性障害にも用いるSSRIという抗うつ剤で、定期的な内服をスタートして2〜4週間ぐらいで徐々に効果が出てきます。その薬の効果が出るまでの期間は多くの場合、対症的な薬を併用することが一般的です。

 日本ではβブッロカーという交感神経遮断薬(ミケラン、インデラル、テノーミンなど)と即効性のベンゾジアゼピン系の抗不安薬(ワイパックス、ソラナックス、デパスなど)を頓服で服用することが多いです。

 日本ではβブロッカーは降圧剤ですので、社会不安障害に保険適応はありません。抗不安薬のような眠気は無いのですが、低血圧になったり喘息発作を誘発することがありますので、注意が必要です。

 しかし、薬だけで人前や苦手なものを完全に克服するのは不可能ですので、服薬で症状が落ち着いてきたら、暴露療法や行動療法といって少しずつ刺激に慣れさせていくことが必要です。(「特定の恐怖症」の場合はそちらの方が治療のメインになります。
 
 恐怖症というのは非常に辛いものであり。生物学的にも異常がある病気ですので、自分の力でどうしようもない時には病院の受診と服薬をお勧めします。当院できちんと治療して良くならなかった方は一人もいません。人によっては劇的に改善し、人生が変わりますよ。

我が家のベランダにて


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ここでの文章での文責は 竹川 敦です。
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