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医者の本音

僕の自伝みたいなものです。

.再び精神科医として・・・
 
 
 激動の内科研修も2年で終わりです。


 最初の頃は解らない事ばかりでしたが、色々な科を回り、患者さんから色々勉強させてもらい、怖い思いも沢山しましたが、終わる頃にはどんな症状の患者さんでもある程度、対応や処置が出来きるようになっていたんです。

 レントゲンや心電図は当たり前ですが、心エコーや腹部エコー、胃カメラ、気管支鏡、さらには将来絶対にやらないような心臓カテーテルから透析管理までやらせていただき、お陰で、どこまでが自分で診れるかという境界がしっかりと解るようになりました。
 
 このまま内科医としてやっていくのも考えましたが、ここから先は循環器や消化器などの専門の分野にいかなければなりません。色々考えたのですが、やはり精神科より魅力的な科は存在せず、6年目からは国立総合病院の精神科病棟に勤務することにしました。総合病院であれば、身体の勉強をしながら精神科の患者さんを診れると思ったんですね。
 
 


 勤務した先は精神科には珍しく、全床に酸素の配管がされており、身体的には大学病院よりも重症な患者さんを受け入れていました。また、リエゾンという一般病棟で精神症状のある患者さんの併診も多く、特に精神症状を認めやすいリウマチ病棟があったので非常に勉強になりましたよ。

 ただ看護婦さんのレベルは、かなり低くよく患者さんの退院後のことで喧嘩しました・・・(退院後のことを全く考えない彼女達でしたから)

  他科の先生の中には、精神科の患者さんに対する偏見は残っておりましたが、その偏見を少なくするために、どんなことでもすぐに相談してもらい、依頼された患者の精神科的診断と今後の経過、対応法も詳しく説明しました。

 おかげさまで内科や他科の先生方とは非常に良い関係が築けたんです。やっぱり僕達精神科医の内科的な知識不足が、精神科と他科との間に深い溝を作っていたんだと痛感しました。
 
 
 リエゾンについても、ただ安定剤を出すのではなく一緒にデータを見てメインの疾患の治療が原因と疑われる症例には、こちらから治療法に対して助言出来るようになりました。
 
 余談ですが、精神科依頼が来る患者さんで一番多いのは、せん妄状態という意識障害なんです。それは何らかの身体的原因から起こる、意識障害なんですよね。一見痴呆症と鑑別つきませんが、原因が治れば嘘のように良くなるんですよ。それを知らないと痴呆だからと全身検索せず、致命的になるケースも少なくありません。その身体的な原因も一緒に探さないといけないんですよね。
 
 リエゾンという言葉の意味はオーバーラップする、つまり糊代があるということで、複数の専門家がその観点からその症状の原因を探すという事です。
 
 

 大学病院などでは、脳の症状は神経内科、心臓は循環器、精神症状は精神科と、きっちりと役割分担で治療しているところもありますが、それでは総括的な医療ではなく責任の所在も解らなくなりますよね。その患者に携わった全て医師が専門に関係なく身体疾患の可能性を検索することが大事なんです。 

 
 本来他科に対するコンサルトというのは知識だけを貰うものであり、実際患者さんの体を責任を持って管理するのは受け持ち医なんです。受け持ち医が何科の医者なんて関係ないんですよね。ただの医師とその患者の関係が大事なんです。それが一番出来なかったのが私達精神科医だったんです。

 普通に考えても「病は気から」というように身体疾患と精神症状は深い密接な関係があるんです。それに薬を出す以上は副作用がある訳ですから、体は診れませんなんて言うこと自体おかしいのだと思います。
 
 内科の研修を終えた後の、総合病院での精神科病棟というのは、私にとって非常にやり易かったです。色々な身体疾患の勉強も出来たし、同時に一般的な精神科の勉強も出来る。他の精神病院とは違う、「心と体の医療」が出来たのだと思います。



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