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患者さんからの?

自分の子に自殺されることほど、
ショックなことはありません。
僕はそういう母親達を何人か診ていますが、
いつも何と言ってあげたら良いのか本当に悩みます。

ここでは、日常の診療でよく患者さんに聞かれることを
簡単に説明したいと思います。
 

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16  自殺について
 精神科医や心療内科医にとっては、必ずといっていい程遭遇するエピソードです。誰でも身内が自殺未遂というのは非常にショックなことですよね。

 現在日本での自殺者数は年間3万人を超えており、一日あたり80人の自殺者がいる計算になります。また、20〜30才台での死因で一番多いのも自殺なんです。今や社会問題にもなってますよね。
 
 自殺未遂した方を診察する上で一番重要なのは自殺した原因つまり動機です。多くは以下の理由で起こることが多いです。
 
@アピール的に行う方:若い女性に多く、睡眠剤の大量服薬やリストカットという手首の切傷を何度も行います。特徴としては、自殺する前に誰かに連絡したり、明らかに見つかるよな場所で行います。

 実際に「死にたい」より「構ってほしい」「話を聞いてほしい」という理由での行為ですから既遂率は非常に低いのですが、時に事故という形で成功することもあるんです。(「「境界型人格障害」や「知的障害」など人格面に問題を持つ方が多く、周囲の人々、特に家族や恋人の対応が非常に重要です。
 
A衝動的に行う方:自殺行為をした後に誰かに連絡したり、自分で救急車を呼んだりします。これは「境界型人格障害」「ADHD」などの発達障害など人格面に問題のある感情の起伏が激しい方や、「アルコール依存症」や「薬物依存症」の酩酊状態や意識障害、せん妄状態、解離状態で本人の判断能力がつかない時などにも起こります。

 本人はあまり死にたいという願望はなく、自傷行為でなら自分で手当てしますので、既遂率は低いです。(アルコール依存症と薬物依存症の場合は既遂率が非常に高いです。)
 
B絶望を理由に自殺する方:病苦やリストラや孤独など大半納得できる理由のある場合で、中年以降の男性に多く、「うつ病」の経過中に起こることが多いです。基本的に誰にも相談せず、遺書などもしっかり残しています。既遂率もきわめて高く、周囲の人がいかに早く気がついてあげれるかが重要です。
 
C精神症状が原因の方:異常体験つまり、統合失調症やうつ病などの精神疾患の症状で幻聴や妄想から「自分が死ななければならない」と考え、実行するケースです。このような方も既遂率は高く、薬物の投与が不可欠ですね。その他にも悲嘆反応や極度の不安、緊張から自殺を図る場合もあります。

 
これらは前もって精神科や心療内科を受診させることで、ある程度未然に防ぐことが可能ですが、「重度のうつ病」や「統合失調症」の患者さんは基本的に病識が欠如しているため、自ら病院受診することは少ないです。その場合、家族の人、近所の人、市の職員などがいかに早く気が付き、病院に連れてくることが大事なんです。本人が拒否する場合は家族のみの受診でも構いません。

 しかしながら、病院に通院中でも理由が分からずに自殺したというケースというのも存在します。(僕の所でも年に1〜2人くらいは遭遇します)。そういうケースで多いのが、「発達障害」「統合失調症」「躁うつ病の間欠期」の患者さんです。

 彼らは決して精神的には不安定ではなく、前の週まで調子良く外来に来ているのも関わらず、いきなり自分の命を断つことがあるんです。両親や配偶者に聞いても原因が思い当たらず、遺書もないことが多いので、本当に訳が分からないです。そう考えると完璧に予防するというの不可能なのかもしれません。

 自殺というのは周囲の人の心に対し物凄い破壊力を持っています。特に両親や配偶者、担当医や友人、親しければ親しい程、辛い思いをすることになるんです。(僕は最悪の暴力行為と考えております)

 多くの場合、死んだのは自分のせいではないのか?何故相談してくれなかたのか?他に方法は無かったのか?と自責的になり、その傷は一生癒えないです。

 精神科医の中でも同じ担当医の患者の自殺は短期間に続くという変なジンクスがあります。ですから自殺をされた周囲の人に対して自分を責め続けないような精神的なフォローも大事なんです。
 
 自殺未遂やそれに準ずる行為を認めた場合はとにかくどのような理由でそのような行為にいたったか推測し、家族だけでも医療機関に相談したほうがよいでしょう。

 自殺未遂があると、よく話を聞いてあげたくなるのが普通ですが、アピール的に繰り返している場合は話を聞いてあげることが、自殺を助長し逆効果になる場合も多いです。

 また、うつ病や統合失調症は治せる病気ですから何とか医療や福祉につなげれば劇的に症状が改善することがありますよ。

キャッチの瞬間(フリスビーです)


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ここでの文章での文責は 竹川 敦です。
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