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患者さんからの?

現在では「うつ病」という言葉がメディアを中心に
非常に乱用されておりますが、
実際そんな多い疾患でもなく、
誰もがなりえる病気ではありません。

ここでは、日常の診療でよく患者さんに聞かれることを
簡単に説明したいと思います。
 

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5  自分はうつ病だと思うんですが・・・
 日常の診療で非常によく聞かれる質問です。多くの方が人生一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
 
 気分が落ち込んだり、食欲が無くなったり、眠れなかったりと・・・。例えば仕事で大きな失敗をしたり、失恋をしたり、日常の生活の中でも普通に陥る状態と思われます。多くは一過性に改善し、特に問題ないのですが、
一ヶ月以上症状が持続する方は注意が必要です。
 
 症状としては、不眠、食欲低下、全身倦怠感、抑うつ感、無気力、不安、焦り、集中力低下、悲観的思考、自責感など、ひどくなると被害妄想や貧困妄想、罪業妄想などを認めます。

 それらの症状から会社に行けなかったり、家事が出来なくなったりと社会的に重篤な障害をきたしますのですが、症状が激しい割には、
精神疾患の中で「うつ病」の診断というのは一番難しいんです。
 
 うつ病の説明の前に大事なことは、うつ病とうつ状態の違いです。うつ状態とは状態像で、疾患名ではありません。

 それに対して「狭義のうつ病」とは疾患名であり、脳内の神経伝達物質である、ノルアドレナリンやセロトニンの活性低下による病気なんです。(最近は両者を区別せず、何でもかんでも、「うつ病です」と診断してしまう医師が非常に多いです。)
 
 よくメディアなどで見られるチェックシート式の「うつ病診断」と言われているものがありますが、あれはあくまでも「うつ状態」の診断で、「うつ病」の診断ではありません。正常な方でも仕事が忙しい時や、物事がうまくいかない時などは、ほとんど当てはまると思いますよ。
 
 うつ病の診断をする時に一番大事なのはうつの期間が3ヶ月から長くても1年で、その後必ず元の状態に戻るということと、症状が環境などで変化しないということです。休職などで短期間に劇的に症状が改善することはありません。その場合はうつ病よりも「適応障害」という病気の可能性が高く、薬物よりも環境調整が必要です。

 ちなみに「適応障害」というのは環境や人間関係などのストレスとで情緒不安定になったりうつ状態を呈したり、身体症状を認めたりする疾患で、発症にはストレスを受けやすい性格が非常に深く関係しております。

 ストレスを受けやすい性格としては、アダルトチルドレン(後述)や境界型人格障害(後述)最近では発達障害の方が非常に多く、幼少時や思春期にもストレス反応性に何らかの症状を認めているのが特徴です。

 「適応障害」は
「うつ」を主訴で来院する方の実に70%以上をしめており、私個人の意見としては他院で治らないうつ病と診断されている(難治性うつ病と診断されている)患者さんのほとんどがこの適応障害であり、何らかの性格的な要素を持っていると考えております。

 その場合は薬だけでは改善せず、長期の休職は逆に悪化することが多いです。根本的な治療には環境調整と、自分の性格を知ることが非常に大事なんですね。
 
 その他にもパニック障害、強迫性障害などの神経障害や統合失調症、痴呆症、悲嘆反応などの症状として認めることもあります。また、色々な身体疾患や内服薬でも起こることがあります。

 例えば、甲状腺機能低下症や消化器疾患、悪性腫瘍、高血糖、降圧剤やステロイドホルモン剤などでも起こることがあります。この場合もいくら抗うつ剤を服用しても改善しません。
 
 先にも書きましたが、うつ病になると仕事に行けなくなったり、家事が出来なくなったりと、その人の社会生活に重篤な支障をきたすことがあり、ひどくなると自殺の危険もあります。

 病気で人生が変わると言っても過言ではありません。また長期に続くと身体の免疫系が低下し(病気に対しての抵抗力が下がるということです)色々な病気を起こすと言われております。余談ですが、末期がん患者の余命期間もうつ状態になるならないで大きく違うんですね。
 
 このように「うつ病」というのは診断が難しく、社会生活にも支障をきたす厄介な病気です。

 しかしながらきちんとした診断がつき、適切な治療を受ければ、劇的に症状が改善し、本当に別人のようになります。その人の人生が変わる、生涯の危機を脱したと言っても過言ではありませんので、長期に症状が改善しないのであれば、病院受診をお勧めします。

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ここでの文章での文責は 竹川 敦です。
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