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患者さんからの?

半年以上「うつ病」の診断のもと、
他院で治療していたが良くならないと、
沢山の方が当院にいらっしゃいます。
そんな「うつ病」と言われていた患者さんの
95%以上はうつ病ではありませんでした。

ここでは、日常の診療でよく患者さんに聞かれることを
簡単に説明したいと思います。
 

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7  なかなかうつ病が良くならないんですが・・・
(うつ病と適応障害の違い)
 他院でうつ病の治療している方から良く聞かれる質問です。半年から一年以上、うつ状態が続いているというケースも少なくありません。
 
 他の項でも述べましたが、狭義のうつ病(内因性うつ病とも言います)というのは、脳内の神経伝達物質の活性低下による病気であり、抗うつ剤はその低下した物質を増加させる働きがあります。

 内服開始してから効果あるまで大体4週間かかるのですが、効果があれば平均3ヶ月で元の状態に戻ると言われております。それに内服しなくても6〜13ヶ月で自然に回復するんですね。

 ですから理論上ではしっかりした量の抗うつ剤をずっと内服していて、長期に重度のうつ状態が改善しないうつ病はほんとに稀なんです。

 文献上では難治性うつ病というのですが、僕は今までうつ病の方を何百人も診てきて、ほとんど遭遇したことがありません。(そういう紹介状を持ってきた方は何人もいましたが・・・)
 
 実際そのようなケースに遭遇した場合その患者さんが本当にうつ病なのか、もう一度疑ってみることが非常に大事です。

 まず第一に考えるのが身体疾患や薬物によるうつ状態です。貧血や肝機能、甲状腺機能障害、脳梗塞、悪性腫瘍など身体的に異常があるかどうか検査し、内服薬もきちんと調べた方が良いでしょう。内服薬で多いのはステロイドやアルコール、抗精神病薬や、経口避妊薬、一部の鎮痛剤、降圧剤、抗生剤などでも起こすことがあります。
 
 以前、他医でいくら抗うつ剤を内服しても改善せず、会話も出来ずに、寝たきりになっていた患者さんがいました。年単位でβブロッカーという降圧剤を内服しており、その薬を中止することで、うつ状態はすぐに改善したんです。

 しかし、長期臥床による筋力低下がひどく、歩行困難になってしまった可哀想なケースもありました。内服薬の副作用というは、日常の診察でも非常に多く遭遇します。それに一度止めてみないと副作用かどうかというのは、解らないんですよ。



 
 身体や薬で異常がないのであれば、精神疾患で他の病気の可能性がないかどうかです。一番多いのが、先にも書きました「適応障害」です。

 これは元々ストレスを受けやすい性格因を持つ方が、環境の変化や人間関係などのストレスを契機にうつ状態となったり、情緒不安定となったり身体症状を呈したりするもので、「うつ」を主訴に来院する方の実に70%以上がこの「適応障害」なんです。(逆に言いますと、「うつ」を主訴に来院する方で、初診時に「うつ病」と診断できる人は15%くらいなんです)

 「適応障害」の場合、抑うつ感や希死念慮、食欲低下、不眠、身体症状はうつ病と同じように認めますが、症状が環境で変動するというのが最大の特徴です。例を挙げれば休日は体の調子が良い、嫌な上司が居ない日は落ち着いて仕事ができる、趣味や好きなことに対しての欲求は持続している、などです。(逆にうつ病に特徴的な症状は思考の制止(考えが止まる)と、症状が環境や状況に左右されず毎日認めることです)

 ストレスを受けやすい性格因として、アダルトチルドレンや境界型人格障害、発達障害などの性格障害を持っている方がほとんどで、過去にも同様の経験や、幼少時や思春期にも何らかの精神症状、例えば対人コミュニケーション不良、強迫観念、自傷行為、過食拒食、過呼吸、過敏性腸炎、自律神経失調症などを認めている方が多いです。

 休職などで環境が改善されると急速に症状が改善するのも特徴で、一か月以内にほとんど正常なくらいまで症状は改善します。(旅行に行ったりも出来るようになります)しかしながら元の環境に戻れば再び症状は悪化しますので、復帰が近付けば元の状態に戻るんです。(逆に「うつ病」の場合は環境を変えても症状が改善せず、将来的には環境を変えなくても改善するのが特徴です。)

 治療としては自分の性格特性を理解することと、ストレスの対処法を考えること、職場の環境調整、を積極的に行います。狭義のうつ病の対応のように安静や休暇を長期に行うと、実際社会適応出来なくなり、二次性の疾病利得からヒステリー症状(つまり長期に仕事を休むために自分で病気を作り色々な身体症状を出すんです)に発展することがあり注意が必要です。
 
  
 その他にも「躁うつ病」「統合失調症」「強迫性障害」「パニック障害」などさまざまな原因を考えなくてはなりません。うつ病というのは精神疾患の中で一番診断が難しく、間違った診断をするとその患者さんの社会的予後に致命的な結果を招くことがあるので、長期に改善しない場合は専門の医療機関を受診することを強くお勧めします。
少し難しいですが「私の診断治療法」是非参照してください。

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ここでの文章での文責は 竹川 敦です。
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