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患者さんからの?

最近なって「大人の発達障害」というのが、
非常に注目されており、NHKを始めメディアや
書籍でも取り上げらることが多いです。
私の所を受診する方の半数以上が発達障害です。

ここでは、日常の診療でよく患者さんに聞かれることを
簡単に説明したいと思います。
 

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20.発達障害について
 
 皆さんの周りにも子供の頃、いつも動いている落ち着きの無い子供、感性が独特な不思議な子供、全く友達を全く作らず勉強ばかりしている子供、すぐに先生に言いつける、正義感が物凄く強い子供、何度も忘れ物を繰り返すのび太くんみたいな子供、自分のことしか考えていない、暴力的なジャイアンみたいな子供などなど、いわゆる少し変わっていた子供が居たと思います。

 往年彼らは単にその子の個性、性格ではないかと思われておりましたが、近年は遺伝的な脳の構造の違いからくる発達障害だということが解ってきました。(性格、個性は間違っていませんが・・・)

 発達障害というのは、知能が低い知的障害とは違い、いわゆる対人コミュニケーション能力、問題解決能力、臨機応変さ、想像力や気を利かせる能力などの低下を認めるものの総称で、知的レベルは問題ない、もしくは優秀な人が多いです。(科目によって物凄い斑があるのも特徴です)

 ですから周囲と少し周囲と変わっていても総合成績は問題なく、進学、進級は出来る為、そのまま社会に出ることは出来るんです。しかしながらその個性の強さから、周囲の人たちとうまく付き合えない、環境の変化についていけないなどで容易にうつ状態、情緒不安定を呈しいわゆる「適応障害」(二次障害)の診断で病院を受診する方が非常に多いんです。


発達障害はその特徴から以下に分類されております。

・自閉症(AD)
 一つの物事に異常に執着、過集中、没頭する。何度も同じ行動を繰り返す。会話によるコミュニケーションは苦手か出来ない。常同思考で一度ついた考えが変えられらない、環境の変化を嫌い、臨機応変に行動できず、予期せぬ出来事が起こった時にパニックになる。時に物凄い暗記力、計算力など、並外れた能力を持つこともある。(サバン症候群)


・アスペルガー症候群(ASP:高機能自閉症
 知能が正常もしくは高いが、基本は自閉症と同じ常同思考。言語能力に優れ、会話が可能であるが、相手の気持ちをくみ取ることが出来ずに、言われた言葉をその言葉通りに受け取る。場の雰囲気を読むこと、他人に気を使うこと、人の顔色を読むことが苦手。冗談や慣用句、友情や愛情が理解出来ない。物事に優先順位が付けられず、同時に2つ以上のことが出来ない。幼少時から強迫観念を認めることが多い。


・注意欠陥多動性障害(ADHD/ADD)
 不注意、衝動性、多動が特徴、(多動が目立たないものはADD、女性に多い。)落ち着きなく、じっとしていることが出来ない。興味を持ったものには集中出来るが、そうでないものは注意力が続かない。自己管理が出来ず、時間や金銭の管理、片付けが苦手。忘れ物が多い。頭に浮かんだことを即座に行動に移す。失言が多い。感情のコントロールが苦手ですぐに感情的になる。行き当たりばったりの行動が目立つ。子供の頃の嫌な思い出ばかり心に残ってしまう。



・学習障害(LD
 「読む」「書く」「計算する」「推論する」「聞く」「話す」の基本的な学習能力のうち特定の能力に困難さがある。文字をスラスラ読めない、変なところで区切る、濁音が発音出来ないなどの読字障害(ディスレクシア)や字が正しく書けない、左右逆文字、鏡文字を書いてしまう書字障害など。

・発達性言語障害(言語性LD)
 人の話が最後まで聞けない。雑音の中で会話に注意を向けることが出来ない。音を言葉としてとらえられない。


・発達性協調運動障害
 体のバランスが悪く、良い姿勢がとれない。よく転んだり、体をぶつける。緻密な動作が出来ず、全て粗雑な動作になる。箸やハサミを使えない。書類を整理することや、服をたたむがきれいに出来ない。


 以上のように分類されておりますが、一つの項目に全部当てはまる人というのはおらず、2つ以上の特徴を少しずつ合わせ持つ方がほとんどです。ですから最近では「自閉症スペクトル」とか単に「発達障害」もしくは「広汎性発達障害」などとまとめて呼んでしまうようになってきております。




 このような発達障害児の多くは、生まれ持っての性格ですので他の子と比べることや、小学校に入学、もしくは不登校になることで、発覚することが多いです

 しかしながら多動の目立たないADDとASPは成人になるまで解らないことがあるんです。さらに彼らの親が彼らの個性を力で抑え込むことによって、その性格特性がマスクされてしまうことも多いんですね。(要はアダルトチルドレンの合併です)

 彼らは元々脳の構造が違うので周囲の人と価値観が異なり、子供の頃から浮いた存在になるんです。

 空気が読めない無神経、何度も忘れ物をするダメな生徒、すぐに感情的になり周囲から一線を置かれる、注意力が持続しない、少しの変化にもついて行けないなどで、劣等生や怠け者という扱いをされることが多いんです。

 それでも親や先生の教え通り、無理やり周囲に合わせようとし、我慢することで乗り切ることが出来たのであればアダルトチルドレンになり、比較的社会適応は悪くないのですが、我慢できないと自分に対する劣等感からストレスが溜まり、うつ状態になったり、強迫観念を認めたり、摂食障害や引きこもりになったり問題行動ばかり起こしたり、頭痛、腹痛、下痢などの心身症をきたしたりします。それらを発達障害の二次障害というのですが、多くの場合考え方や環境を変えることで改善します(後述)


 日本の学校では勉強の成績如何にかかわらず、何とか高校までは卒業させたいという風潮があります。(社会人になってからのことは、あまり考えてくれないんですね)ですから個性の強い彼らも何とか卒業できるのですが、社会に出た後に選択を間違えると色々と苦労する人が出てきます。

 例えばシステムエンジニアや自営業、自衛隊などは問題なく就く事が出来ますし、中には特殊能力を生かし、芸術家や科学者を経て天才となる人もいるんです。織田信長、坂本竜馬、エジソン、スピルバーグ、ビルゲイツ、ウォルトディズニー、トムクルーズ、アインシュタイン以外にもノーベル賞を受賞した人のほとんどは発達障害と言われております。

 しかしながら接客業や中間管理職、チームで動く仕事、各々の判断で動かなければいけない仕事などは向いておらず、途中で適応障害(二次障害)を起こす人が多いですね。


 そういう形で病院を受診する方が非常に多いのですが、まずは「適応障害」で終わらず、きちんと性格面の診断をつけること、要は発達障害を見抜くことが非常に大事なんです。

 特に幼少時(出来れば幼稚園〜小学校入学前)で、我慢することを覚える前の性格が非常に重要で親からの病状聴衆と家族歴が診断には必要不可欠です。


 治療としては脳の器質的な問題ですので治らないことを自覚し、自分の性格特性を自分で理解し、他人とは根本的に脳の構造から違うことを納得してもらうのが非常に大事です。(ADHDにはコンサータ、ストラテラという治療薬がありますが、 現在18歳以上には適応が無く、処方出来ません。)

 そして他人と同じにするという固定観念を取り払うこと、仕事でも家事でも自分独自のやり方を開発してもらうことが必要です。

 同時に周囲の人、例えば家族や担任の先生、同僚、上司などにも性格特性を説明し(出来れば自分で説明できると素晴らしいです)出来ることと出来ないことをしっかり区別して勉強、仕事、家事をマイペースでさせてもらえる環境を作ることも大事なんです。(場合によっては転校、転職させたり、障害者手帳の交付も必要になります)


 発達障害は今の学童の5%、国立の大学生の10%はいると言われております。

 彼らは周囲からは変わり者と見られていることが多いのですが、人を疑うことを知らない、誰かを騙したり高度な嘘がつけない、言われたことを全部素直に受け取る、自分の興味があることはとことん追求する、何事も適当に出来ないなど、人間としては非常に魅力のある存在なんです。
(僕は個人的に頑張っている発達障害の患者さんは大好きでついつい応援したくなりますよ)

 そして現在の便利な世の中を、類まれな頭脳で発展させてくれたのも彼らなんですよね。何とか彼らを劣等生から自由人、そして天才に変わっていけるような世の中を作っていけたらと思います。

 皆さんも周りに思い当たる人がいれば、一線を引くのではなく、近寄って是非理解してあげて下さい。彼らは独特の考え方価値観を持っているだけで、決してダメな人ではないのですから・・・



付)発達障害お勧め本

「図解 よくわかる大人の発達障害」「図解よくわかる大人のアスペルガー症候群」ナツメ社
「大人のアスペルガー症候群」梅永雄二著  「大人のADHD」田中康雄著
「高校生の発達障害」「思春期のアスペルガー症候群」佐々木正美著

「よくわかる大人のADHD」「のび太ジャイアン症候群」司馬恵理子著
「わかっているのにできない脳」ダニエル・エイメン著
「知って良かったアダルトADHD」「依存症の真相」星野仁彦著
「片付けられない女たち」サリソルデン著
「自閉症的感覚ー隠れた能力を引き出す方法」テンプル・グランディン著
「自閉症だった私へ」ドナ・ウィリアムズ著
「ずっと普通になりたかった」グニラ・ガーランド著


少し難しいですが、
子供の発達障害
大人の発達障害是非参照してください。

発達障害で受診の際にはお読み下さい。
発達障害関連で受診希望の患者様へ

ボール・・・


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ここでの文章での文責は 竹川 敦です。
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